理科シリーズ5回目となる今回は、中学3年生から“イオン”について。
これまた、“目に見えない”、“覚える用語が多い”など、苦手意識を持つ理由には事欠かない単元です。
となると、意識することは一つ。
いかにして“イメージを掴ませるか”。
今回も、その助けとなる“置き換え”を紹介したいと思います。
イメージが湧かない説明は“NG”
まずは“イオン”について。
以下の基本的な説明に目を通してください。
「本来、陽子の数と電子の数は等しいので、全体として原子は“+の電気”も“-の電気”も帯びていない状態になっている」
「ですが、そこから電子を失ったり、受け取ったりすることで、電気を帯びるようになる。このような、原子が電気を帯びたものを“イオン”という」。
「電子を失って+の電気を帯びたものが“陽イオン”、電子を受け取って-の電気を帯びたものが“陰イオン”である」。
これが一般的な“イオン”についての説明です。
ある程度、内容を知っている人からすれば、“ごく簡単な話”。
このくらいのことで、“既について行けない”と言われても、困ってしまうような段階かもしれません。
ですが、この段階で“ついて行けなくなっている生徒”も必ずいます。
では、理解出来なかった生徒たちには、今の説明が“どう見えているのか”。
理解出来た方にも分かる形で、もう一つ具体例を挙げます。
言葉の意味が分からない時に、受ける“印象”
料理教室に通い始めたばかりの状態をイメージしてください。
もし、最初の授業でいきなり先生から“オニオンをエプリュシェして、アッシェしておいてください”と言われたら。
多分、皆さん“???”となりますよね。(もちろん、実際にこんなことは有り得ませんが)
知らない言葉が多すぎて、何をしておいてくださいと言われたのか、まったく分からない。
おそらく、そう思ったはず。
先ほどの説明を理解出来なかった生徒たちの受けた“印象”は、こんな感じです。
これでは、“先に進めない”。
では、どうするかです。
(ちなみに、先ほどの例は、“エプリュシェ”が皮をむく、“アッシェ”がみじん切りを表し、“玉ねぎの皮をむいて、みじん切りにしてください”という意味です。)
置き換えて“イメージを掴む”
今回は身近な言葉で、“男子”と“女子”を使って置き換えます。
例えば、陽子の数を“男子”、電子の数を“女子”とします。
男子の人数と女子の人数が同じ状態の時、この原子は“電気を帯びません。
この状態を“ただのグループ”とします。
そこから、女子(電子)が一人、グループから抜けた場合、結果として男子の方が多くなります。
これを“男グループ”とし、逆に女子が一人、グループに加わった場合は、女子の方が多くなるので、“女グループ”とします。
このように、男女の人数のバランスが崩れて、“男グループ”か“女グループ”のどちらかになったとき、そのグループは“電気を帯びる”ことになります。
陽子を“男子”としていたので、“男グループ”が陽イオン、電子を“女子”としていたので、“女グループ”が陰イオンということになります。
これが“イオン”の仕組みです。
(ちなみに、陽子は動かないので、今回の場合、人数が変動するのは女子だけです。)
結論
今回の単元もそうでしたが、人間は知らない言葉がたくさん出てくると“抵抗感が生まれます”。
そして、抵抗感が生まれると“話が入ってこなくなり”、話が入ってこないと“ヤル気になれなくなります”。
そうならないために、抽象的な内容を扱う時ほど、いかに“具体的”かつ“シンプル”なものに置き換えられるか。
そこが“勝負の分かれ目”になります。
まず、最初に“抵抗感を持たせない”。
これを意識して、これからも考え続けていこうと思います。