“前回と点数が変わらなかった”。
“偏差値が前より低くなった”。
模試の答案や成績表の返却後によく聞かれるこれらのセリフですが、おそらく“不満な気持ち”から発せられたものだと思います。
しかし、点数が前回と同じであることや、偏差値が低いことが“必ずしも悪い結果を意味するわけではありません”。
え、どういうこと!
そう思われた方に今回は、“数字のマジック”についてお話します。
条件によって“数字は姿を変える”
例えば、ある生徒の数学の点数が“80点だったとします”。
普段から90点以上しか取らないような秀才でない限りは、“良い点数”というのが一般的な印象ではないかと思います。
この段階では、あくまで個人の“80点”という数字からだけの判断です。
ですが、ここから“条件を加えていきます”。
もし、これがクラス平均85点のテストだったとしたら。
状況は一転、平均点以下という印象から、80点という点数は、“決して良い点数とは言えない”
に変わってしまいます。
これは逆もまた同じです。
例えば、40点と聞くと一般的には“低い点数”という印象でしょうが、ここに“クラス平均35点”という条件が加われば、途端に“悪くない点数”へと姿を変えます。
これが“数字の持つ力”。
表面的なところでは判断出来ない、難しいところです。
では、どうすれば良いのか
出た結果の“どこを見るのか”を意識して、“分析力を磨く”ようにしてください。
受けた模試の難易度、受験者数、受験者の層、などなど。
これらによって、数字の持つ信憑性は“大きく変わる”と言えます。
数字に踊らされないために
例えば、冒頭に挙げた“前回と点数が変わらなかった”というケースを考えてみます。
これは学校のテストでも言えることですが、“前回と点数が同じ”というのは、一概に“悪いこと”とは言えません。
前回のテストの平均点が60点で、自分が65点。
今回のテストの平均点が55点で、自分が65点。
この場合、自分の点数だけ見れば“変化ナシ”ですが、平均点が下がっていることから、周りの生徒の出来は、今回の方が前回よりも悪かった。
その中で点数を自分は落とさなかったというのは、“成長していることの証でしょう”。
つまり“数字に変化ナシ=成長していない”というわけではないということです。
結論
点数が上がっていない焦りから、保護者の方が子供にキツい言い方をしてしまう。
結果が悪かったことへの焦りから、下手な学習計画のいじり方をしてしまう。
あるいは、感情的になってしまい、道半ばで投げ出してしまう。
“過程における結果”と分かっていても、こんな風になってしまうことは少なくありません。
だからこそ、“正しく数字を見る力”を身に付けることは絶対条件です。
これは、社会に出て働く上でも絶対に必要な力です。
学生の間の勉強を通して身に付けられるように、ぜひ意識して取り組んでみてください。