今回は“英文法シリーズ”の3回目になります。
前2回の記事では、
(現在形と現在進行形(英文法シリーズ②))について書かせていただきました。
これまで同様、“表現法を増やす”をコンセプトに、“助動詞”の授業をする際、私が意識していることについてお話します。
助動詞がないと“どうなるか”
ここまで“動詞の使い分け”や、“時間について”の話を主にしてきました。
ですが、前2回の記事でお話した内容だけでは、“文章の表現にこれ以上幅が出ない”と言えます。
というのも、みなさん“ある事”にお気づきでしょうか。これまでにお話した内容だけでは、基本的に文末が「~です、~ます」といった、“です・ます”の文ばかりになってしまうのです。
日常生活において、“これで充分なはずがありません”。
時には“~することができる”や、“~しなければならない”といった文を書きたいと思うこともあります。
けれど、ここまでの知識だけでは“それが書けない”。
そんな人のために、助動詞という“強力な武器があるのです”。
ファーストコンタクトで決まる“その後の展開”
例えば助動詞の“can”を教わる時、授業の冒頭でこんな始まり方をしたとします。
「今日は、助動詞のcanについて説明します。canと聞くと、瞬間的に頭の中で“~できる”という訳語が浮かぶ人も多いかも知れません。」
ですが、“can=~できる”だと思っている人は大間違い。
「canには、~があり得る(可能性)、~してもよい(許可)、~してもらえますか(依頼)などなど、~できる(能力)以外にもたくさんの用法があるのです。」
これを聞かされた生徒たちの反応を“想像してみてください”。
授業の冒頭部分でこれを聞かされた生徒たちのほとんどは“引いてしまいます”。
“覚えることが多い”のと“細かな使い分け”。
これは、生徒たちが嫌う“二大メンドクサイ”。
こんな話を冒頭部分で前面に押し出され、その後“真剣に話を聞いてくれる生徒”は、ほとんどいないでしょう。
もちろん、だからといって生徒たちの顔色をうかがって、“教えるべきことをカットしたり”、“覚える量を減らしたり”するわけではありません。
要は“手順の問題”です。
結果と知識を結びつける“働きかけ”
はじめから“あれも、これも”と知識を並べてみても、生徒たちには“入ってきません”。
例えば、先ほどの例に挙げた助動詞の“can”。
動詞の前に置くことで、“~できる(能力)”という
意味を表現出来るようになります。
これが、たいていの人がcanを見たときに真っ先に思い浮かべる知識。
これだけでも表現法は増えていると言えるのですが、ここでもう一つ例文を見てもらいます。
例)Dogs can bite your hand.(犬は人の手を噛むことがある)
これを見た生徒たちは、こう思うはずです。“噛むことができるじゃないの”と。
でも、よく考えてください。
“犬は人の手を噛むことができる”なんて言い方を普段しますか?
明らかに違和感があります。
そういうふうに生徒たちに“感じさせたタイミング”で、解説を入れていきます。
解説
犬には鋭い歯があります。
飼い主にもかみつこうと思えば、いつでも噛みつける“能力”がある。
つまり、その“能力”をもってして、噛みついてくる“可能性がありますよ”ということを伝えたい。
だから、この場合は“噛むことができる”よりも、“噛むことがある”のほうが表現として、“自然”というだけのことなんです。
結論
助動詞のように“文章に彩りを与えてくれる文法事項”は、その反面で、“覚えることが多い”とも言えます。
だからこそ“手順が大切”。
はじめから“知識ありき”の伝え方ではなく、核となる部分を押さえてから、いかにしてそこに“枝葉をつけるか”。
今回の内容が、その参考になればと思います。