思考力を重視し、その思考したことを“伝える力”を育てる。
最近の教育界の流行り文句の一つですが、それに対して疑問に思うことがあります。
それが、“何を伝えるのか”ということ。
“伝える力”と言えば、聞こえは良いですが、具体的なことが“あまり見えてこない”。
これでは生徒たちも“混乱するばかり”です。
そこで今回は、私なりに考えた“伝える力”を育てる前に意識していただきたいことについてお話します。
“中味なし”に“伝える力は育たない”
例えば、野球にまったく興味がない人が、知識も経験もない状態で“野球の魅力”を誰かに語ることが出来るでしょうか。
おそらく、無理なはずです。
なぜなら、伝えたいことが“何もないから”。
つまり、“伝える力”というのは、伝えたい“思い”や“考え”があって初めて“育てることが出来るもの”ということです。
インプットへの“こだわり”
そのために必要なことは何か。
私は“インプットの仕方を工夫する”ことが一つ、大切なことではないかと考えています。
具体的に言うと、例えば“使える英語力”と聞いて何をイメージするか。
多くの人は“ビジネスの場”を想像するのではないでしょうか。
でも、それでは“ハードルが高く”、しかも“限定的”です。
英語を必要としない仕事もたくさんあることを考えると、“実感が湧きにくい”。
そこでもう少し、身近に感じられる場面を挙げれば、たまたまバイト先に“日本に移住してきた外国人が働いていた”という場合。
これは大いにある話です。
そんな人と会話する時、どんな話をするでしょうか。
趣味の話、日本の歴史や伝統行事について、食文化の違いや宗教への考え方、などなど。
いろんな話題が想定出来ます。
英語で会話をする時、英語力と同じくらいこれらの“知識”や“考え”が自分の頭の中にあるのかということが“大事になってくる”。
インプットをする時は、この状況を想定する“力”が必要になります。
学習の“手順”を意識する
ここまでの話を総合すると、大切なのは“何を重視するか”ではなく、“学習の手順を意識する”ということ。
“知識偏重より思考力”。
“知識より知恵”。
こうした“○○より○○”という話ではなく、“手順”の問題です。
目的を持ってインプットする。
インプットされた知識を組み合わせたりしながら“思考を重ねる”。
そして、その思考した内容を自分の中でまとめ、それをアウトプット出来るように訓練する。
外国人との会話を想定したりするのも、その“一環です”。
結論
“思考力を重視する”。
“伝える力を鍛える”。
言うだけなら簡単ですが、明確なプロセスを打ち出して、それを“公教育の場”で実戦するのは、“なかなかに大変なこと”。
だからこそ、“個々人の意識の持ち方”が重要になってきます。
人に頼るのではなく、“自分でこれらの力を鍛えていく”。
その具体例の一つとして、今回の話が参考になればと思います。