英文法シリーズの5回目となる今回は、先週の記事(一つの文で“動詞を2つ使うには”(英文法シリーズ④))の最後で予告していました“不定詞”の本編です。

先週の“導入”を経て、いよいよ本題となる今回の記事。

ただし、“本題”といっても、参考書に書いてあるような“文法知識の説明”をこの場でするつもりはありません。

ここでも重視するのは“表現法を増やす”ということ。

そして、そのために必要となる“学びの姿勢”に焦点を当て、書いていきたいと思います。

日本語訳に“頼らない”

不定詞を学習する時、生徒たちの頭を悩ませるのが“3つも用法がある”ということ。

英語に限ったことではありませんが、勉強嫌いの生徒は“使い分け”“識別”が大の苦手。

“このときは○○”“そのときは○○”なんて話は、ほとんど右から左へ流れています。

となると、この辺りからではないでしょうか。

“日本語訳に頼り始めるのは”

ですが、そこには“いくつかの落とし穴もあります”

具体例をもとに、見ていきましょう。

例1)I went to the store to buy carrots.

(私はにんじんを買うために、その店に行った。)

(解説)

“~するために”と訳して、動作の理由を説明していたら“副詞的用法”

このような解説は、不定詞を学習したことのある人なら一度は聞いたことがあるはずです。

確かに“間違いのない解説”ではありますが、直後にこんな例文も出てきます。

例2)I am very happy to meet you.

(あなたにお会いできてとてもうれしいです)

(解説)

副詞的用法は、“感情の原因”を表すこともできる。

これを聞かされた生徒たちの目は、“一気に冷めます”

“でた、でた”と。

“副詞的用法は、「~するために」って言ってたやん”となるわけです。

この瞬間、生徒たちの“聞く耳”は無くなったと言っても過言ではありません。

では、どうすればいいのか。

原点に戻ってください。

表現法を増やす

ここでもやはり、この“視点”を忘れてはいけません。

例1の英文をもう一度見ていきます。

I went to the store. (私はその店へ行った)

これまでに学習した知識で“ここまでは表現出来ます”。

しかし、人間の心理で、“~へ行った”と言われたら、自然に“何をしに?”という疑問が浮かびます。

だから、“そこへ行った理由”も合わせて書きたい。

そんな時のために“不定詞”という文法があるんです。

こうした流れで、例1のような文が完成することになります。

ここでの気づき

例1の文では、“行った”という動作に対する説明が、例2の文では“うれしい”という感情に対する説明が、それぞれされています。

つまり、“行った”という動詞や、“うれしい”という形容詞に説明が加えられている。

動詞や形容詞を詳しく説明することが出来るのは“副詞”

だから、副詞的用法という名がついていたのです。

結論

ここまでの話で分かったのは、“不定詞”学習の肝は、”識別”“使い分け”ではなく、“品詞の理解”ということです。

動詞、副詞、形容詞、名詞といった品詞に対する知識。

これが無ければ、“単なる知識の丸暗記”や、“知識の押し売り”になることは避けられません。

これは他の二つの用法でも“同じことが言えます”

となると、“それはマズイ、すぐに戻って復習”となりそうなところですが、そんな生徒さんに意識してもらいたいことが一つあります。

それは、“戻ることだけが、復習の仕方ではない”ということ。

“戻る”というのは“けっこう大変”なことで、その間にも授業は進みますし、時間も間違いなく消費してしまいます。

今回のように、合わせて学習できるところは、“それで進める”

その方が“効率的”という場面もあるのではないかと思っています。

 

(不定詞の授業をしたときのホワイトボードです)