既にご存じの方も多いと思いますが、今年度から中学校では、新学習指導要領に切り替わります。
その改訂の中で大きく変わる教科の一つが“英語”。
その改訂内容の中でも、個人的に皆さんの関心が大きいように感じるのは、やはり“単語数の増加”です。
昨年から今年にかけて、新聞紙上はじめ色々なところで、この“単語数の増加”について触れられているのを見ました。
そして、それを見ていて考えたたことは生徒の皆さん、その保護者の方々は、これを“どう感じているのだろう”ということ。
覚えなきゃいけない単語数が増えることで大変と感じるのか、それとも、特に何とも感じることもないのか。
中には“問題が難しくなるかも”と感じている方がいるかもしれません。
受け取り方は“人それぞれ”でしょう。
でも、“変化”に対してはある程度“対応せねば”と考えるのが人間共通の心理。
そこで今回、この“単語数の増加”に関して、もう少し掘り下げてお話したいと思います。
“増加”自体は大した問題ではない
今回の改訂で増加する単語数は、中学校でおよそ400~600語とされています(ちなみに、これまでは中学3年間で1200語が学習目安だったものが、今回の改訂で1600~1800語に増加しました)。
この時点ですでに“曖昧だなぁ”と感じませんか。
増加するのが400語なのか、600語なのかで200語も違います。
でも、結論から言えば、単語数の目安なんていうのは“こんなもの”なんです。
当たり前ですが、“○○語増加”なんて断定された数字を出すことは出来ませんし、1200語でも1600語でも、その目安となる学習単語すべてが1回の試験で登場するわけではありません。
それに、これまでも1200語すべてを完璧に覚えて試験に臨んでいた生徒の方が少ないと思います。
ただ、そうは言っても、こんな風に“数の増加”を大々的に打ち出されれば、なんとかして“覚えないと”という気持ちになるのも分かります。
もちろん、私としても“覚えなくてもいい”と言っているわけではありません。
大切なのは、“覚え方”と“覚えた”の基準なのです。
具体的に見ていくと。
“覚えた”の基準
生徒さんが“単語は覚えた”と言っている場合、人によって“覚えた”と思っている基準が違っています。
①英語を見て日本語には訳せるが、日本語を見て英語には出来ないレベル。
②音声を聞き取ることが出来、発音することも出来るレベル。
③品詞によって、似た形の単語の使い分けが出来るレベル。
④その単語が使われた例文やフレーズを覚えているレベル。
①から順に下に行くにつれて“ハードルは上がります”。
しかし!です。
音声を聞き取ることが出来、それを発音出来るレベルまでやっておくことで、それが“リスニング”やスピーキング”学習の土台になります。
同じように、その単語が使われた例文やフレーズまで覚えておくと、それが“ライティング(英作文)”学習の土台になります。
つまり、単語の暗記も“覚えた”基準が高くなったらなった分だけ、先々の学習がかなり“ラク”になるということです。
結局はどこかで“やらなくてはならない”
リスニングにしろライティングにしろ、いずれも入試で出題される以上、結局はどこかのタイミングで対策しなくてはいけません。
その時になって覚えた単語が“日本語に訳せるだけ”では、そこからの発展はまったくないのです。
“覚えたの基準”が低いと、せっかく身に付けた知識の応用が利かない。
それだけじゃなく、先々の学習で“致命的なロス”を生むことは、間違いないのです。
結論
“単語数”ばかりが取り上げられると、自然と周りもそれに注目していきます。
“学習時期の前倒し”や“毎回の授業での小テスト”など、様々な工夫がされると思います。
そんな時に常に頭の中に置いて欲しいのが、“遠回りこそが実は近道”ということ。
一つの単語に対して、音声を聞いたり、その単語が使われたフレーズを覚えたり。
一見すると時間がかかって遠回りのように感じる学習ですが、それが将来、必ずあなたの身を救ってくれる“財産”となるはずです。